和歌山県の那智勝浦町と串本町を結ぶ県道長井古座線の八郎山トンネル(711m)の開通工事で施工不良が見つかり、2023年12月開通予定で計画していたトンネル建設が延期となりました。
和歌山県は7月27日に、共同企業体(JV)として工事を請け負った建設業者を6か月の指名停止処分にしたと発表しました。
「施工不良を認識していた」とした上で、発注元である和歌山県に対して虚偽報告を行い提出書類も検査基準に適合する内容に改ざんされていた極めて悪質な施工品質となっているようです。
この八郎山トンネルを請け負ったJV企業はどこの会社なのでしょうか?
施工不良を把握しつつ虚偽報告した建設業者はどこ?八郎山トンネル
八郎山トンネルで施工不良が見つかった件で、トンネル本体工事を請け負ったJV企業は、和歌山市の「淺川組」と田辺市の「堀組」です。
所在地:〒640-8269 和歌山県和歌山市小松原通3丁目69
電話番号:073-423-7161
所在地:日本、〒646-0013 和歌山県田辺市南新万1−2
電話番号:073-981-1115
この類のニュースは建築知識が無い一般の方が見ると,何となく「コンクリートの厚みが足りなかったんだ」程度の認識しか感じないかも知れませんが、手抜きも手抜き、一体何をしてたんだ!と指摘されても仕方の無いレベルのずさんな工事共受け止めれられます。
「施工不良を認識していた」と、施工内容が品質基準を満たしていないことを知っていた上で「大丈夫ですよ!」と適当に虚偽の報告を行い、検査書類についても検査基準を満足させる数値に書き換えて提出していたことが判明しています。
発注元の和歌山県も、施工中適宜行われるべき現地検査を十分に行っていなかったとしてチェック不足を認めています。
JVは約20億3800万円で工事を請け負った。2022年9月の完成後、別の業者が行った照明設置工事で、トンネルを覆うコンクリートの外側に空洞があると判明し、報告を受けた県などが調べた結果、空洞は複数箇所あると分かった。また、全体の7~8割程度でコンクリート厚が基準未満なのに、基準を満たしているとした偽造書類をJVが提出していたことも明らかになった
引用元:読売新聞
実務的な話で言えば、県の担当者が何度建設現場に検査に来ようが、建設のプロ集団の持つ知識や経験・技術などあらゆる面で遥かに凌駕していますので、適当にムニャムニャ言って煙に巻く事自体造作もないです。
本当に見られたらマズイ部分は「危険です!」とか何とか適当に理由を付けて立ち入らせないようなバリケードをしておけば問題なしです。そもそも、検査員が自らの判断で現場内を好き勝手に徘徊することは不可能です。
彼らも「仕事」ですから検査に来たという証拠があれば職務を取り敢えずは全うしたことにはなりますので、痛くも痒くもないチンケな指摘事項を2つ3つ書面上挙げておけば一応の体裁は整います。
はっきり言って建設現場なんてそんなモンです。
だからこそ信頼関係が大切になってくるのでしょうが、さすがに「ここは手抜きしたらヤバい」箇所は請負業者も分かっており、コンクリートの暑さなど、構造物の強度や耐久性に関わる部分の施工不良は通常であれば自主的に手直しを行うべき部分であると考えられます。
30cm必要な部分に対して3cmしか確認されなかったとのことですが、コンクリートを流し入れる状況によっては発生してもおかしくない現象ではあります。
ただ、仮にそのような状況が確認されれば何かしらの対応が行われるのが通常です。
「施工不良は把握していた」とのことですから、これはさすがに悪質でしょう。
電気屋さんも、証明を取り付ける際に躯体にアンカー用の孔を開けていたら予想以上にコンクリートの厚みが薄かったので「ズボっ!」と、貫通したのでビックリして現場監督に報告したのでしょう。
「おい、ここのコンクリすげー薄いけど大丈夫?」的な会話だったと想像しました(笑)
施工不良の隠蔽・虚偽報告・書類改ざんを世間はどう見てる?
こういう事例を見ると、施工業者が信頼できなくなってしまう。 発注側は第三者に検査を依頼して設計図通りかどうか確認してもらうことが必要になってくるのかもしれない
トンネル覆工の施工は地山と型枠の空間が狭く、しかも型枠側からしか生コンクリートを投入することができないため、優れた施行技術や工夫が必要である。 多くの施工経験を積んだ上、熟練した技術がなければ、空洞は往々にして起こりうる
覆厚不足は起こりやすい施工不良ですが、1/10しかない状態で竣工まで来たというのは珍しいと思います。 現場事務所で何が起きていたか大体分かりますが、責任感のある技術者がいないとこういう悲劇が起きますね
引用元:yahoo!ニュース
コンクリートの暑さ不足自体は、トンネル建設に限らずビルや基礎など建設現場全般でさほど珍しい状況ではありません。
また、全ての施工箇所がキッチリ完璧に行われているかと言えばそうでもありません。
どーでもいい箇所や目に見えなくなる部分については結構適当に施工が行われる事もありますが、「ここは手抜きしたらヤバい箇所」は当然ありますので注意を行います。
その注意を行う役割が現場監督であり、完成後に見えなくなる部分を確認する施主検査であり、各種書類の数々になります。
絶対に手抜きが行われていない建設現場は絶対にありませんが、今回は余りにも程度が酷かったのと隠蔽や虚偽が多すぎたのが救いようのない失態ではないでしょうか。
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