家庭菜園や趣味で園芸をされている方にとって、これからの季節はアブラムシとの戦いになる非常に憂鬱な時期となります。
アブラムシは素人には予防が難しく、発生を確認した後の駆除が主な対策になってきます。
出来れば農薬を使わずに自然にも身体にも優しいアブラムシ駆除にはいくつもの方法があるようですが、今回は「コーヒー」を使用したお手軽なアブラムシ駆除の方法と効果について考えてみましょう。
コーヒーを利用したアブラムシの駆除方法は効果がありません!
アブラムシ駆除には様々な方法がありますが、普段飲用している家庭用のコーヒーを利用することで自然環境に優しい天然の方法で駆除することができると考えられ、ネット上ではアブラムシ駆除の上位に数えられる方法として広く知れ渡っているようです。
しかし、アブラムシ駆除にコーヒーを散布しても効果ありません!
悲しいことですが、環境省が主体となって「アブラムシ駆除にコーヒーは効果があるのかどうか」を大真面目に研究した成果を踏まえた上での結論になります。
アブラムシにコーヒーは無意味です!
⇒ 【環境省資料】コーヒー(抽出液)の薬効・安全性に関する情報収集の結果について
アブラムシの他にもハダニの駆除効果は期待できません
コーヒーに含まれるカフェインがアブラムシを駆除する効果があると考えられ、ネット上で検索をすると容易に「コーヒー液散布によるアブラムシ駆除方法」に辿り着くことが出来ます。
多くの方が農薬に頼ること無くアブラムシ対策をしたいと考えていることが分かります。
確かに「濃いめのコーヒー液を散布したらアブラムシがいなくなった」とか「コーヒーに含まれるカフェインがアブラムシに対する忌避効果がある」などイマイチ胡散臭い情報を発信していているものの、その根拠について教えてくれる情報源は私が知る限りありませんでした。
環境省の試験によると以下の条件でアブラムシ駆除を実施。
・コーヒーを1000倍に希釈して葉の表裏に散布
・展着剤は使用していない
・7日間隔で3回散布を実施
実際にアブラムシが発生している状態で1000倍に薄めたコーヒーを直接散布しても、殺虫効果どころか忌避効果すらも確認されなかったとの試験結果が出ています。
普段飲むよりも濃いめのコーヒーを使用すると良いなどの情報が出回っていますが、何ら根拠のない駆除方法に過ぎません。
仮にコーヒー散布でアブラムシの駆除に成功したのであれば、散布したコーヒー液の温度が高かったもしくは展着剤として添加した油や中性洗剤・グリセリンによる窒息効果により死滅したのではないかと考えられます。
・比較的熱めの温度で使用する(50℃程度)
・油や洗剤・グリセリンを添加する
おおよそ「アブラムシ駆除向けのコーヒー液の作り方」で紹介されている方法には上記のいずれかが含まれている場合が多く、そのどれもがコーヒーによる直接的な殺虫作用によるものではないということです。
・普段よりも濃いめコーヒーを使用する
コーヒーに含まれる油脂成分が窒息効果に繋がった意見もあるが、おそらく無意味
・比較的熱めの温度で使用する(50℃程度)
そもそも液体の熱さで死滅する
・油や洗剤・グリセリンを添加する
アブラムシの表面に膜を張った状態になり呼吸が出来ずに死滅する
アブラムシやハダニの忌避効果も期待できません
コーヒー自体には殺菌作用がないものの、散布し続けることによってアブラムシが発生しにくくなることが期待できると紹介しているブログやYouTube動画もありますが、コーヒーに忌避効果は期待できません。
⇒ 【環境省資料】コーヒー(抽出液)の薬効・安全性に関する情報収集の結果について
忌避効果が期待できないということは、ハッキリ言えば「アブラムシ予防にもならない」ということです。
悲しい現実ではありますが、効果が認められないコーヒー散布よりも別の駆除・予防方法を実施しましょう。
土壌改良効果により地力の向上は期待できる
コーヒー液そのものにアブラムシを駆除する殺虫効果はありませんでしたが、土の状態を改善するための手段としてはコーヒーの活用は有効との研究結果もあります。
直接的には効果はなくとも、地力の向上によりアブラムシが発生しにくくなる土壌環境になるもしくはアブラムシに負けない作物に育つ効果があるかも知れません。
コーヒー抽出残渣を大量に施用し、雑草を制御しつつ、ゆっくりと土壌微生物群によるコーヒー抽出残渣の分解を進め、土壌中の窒素を増やし、地力を向上させます。その後よく耕起させ、作物を栽培することができます。
引用元:UCC学術発表
アブラムシ駆除にコーヒー散布を試みた方々の感想
ミニ大根の元気のない株を、間引きを兼ねて収穫。アブラムシを撃退するため、先々週コーヒー石鹸水をスプレーした影響で葉が黒ずんでいます。
— 坪があ@生ゴミ菜園士 (@tsubo_gar) October 30, 2022
この葉は料理に使っても害はないのか?美味しく頂けるのか?#家庭菜園 #シェア畑 pic.twitter.com/ERQ0Wpo8Wa
1週間前、アブラムシが大量発生していたので、コーヒー石鹸水吹きかけ死滅させようとしたが(左写真)、今週見たら、ミズナが全滅(右写真)😭
— 坪があ@生ゴミ菜園士 (@tsubo_gar) October 22, 2022
両側にあるミニレタスとほうれん草は目立った被害なし、アブラムシは偏食・食欲旺すぎ!!#シェア畑#家庭菜園 pic.twitter.com/1Y0rc06eRU
なかなかキレイな茄子が
— ジャンボシロサン (@sirosan2744) May 29, 2022
1本だけ大きくなってた👍
他のナスにはアブラムシが
大量に着いていて、竹酢液や
コーヒーをスプレーしたりしたけど
なかなか駆除出来ない😂#家庭菜園#ナス栽培#無農薬栽培#アブラムシ対策#なすび好き pic.twitter.com/sRSiYRyGKY
コーヒー散布自体にアブラムシを退治する作用はありませんので、油や洗剤などの展着剤を添加するか、別の成分を加える混合法をオススメします。
コーヒーは土壌を改善する効果に期待した方が良いかも知れません。
アブラムシ駆除にコーヒーは意味がない?使用方法や効果【まとめ】
春先の厄介者アブラムシの駆除や予防には悩まされるところですが、できれば農薬は使わないで自然と身体に無害な方法で対策が講じられれば嬉しいですよね。
自家製のコーヒー散布もお手軽対策として知られていますが、実際には効果がありませんでした。
しかし、コーヒーの直接的な殺虫作用が期待できないという意味で、土壌改良としての効果は確認されているので、間接的なこうかと他の方法との複合方法を考えた方が良いかも知れません。
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