中国が海洋放出したトリチウムとは何?海に捨てる理由はなぜ?

中国の原子力発電所が放射性物質であるトリチウムを海洋放出しました。

現在、日本でも東京電力福島原発での処理水問題で世間から注目を浴びている「トリチウム」は、何となくコワいイメージがありますが、本当はどうなのでしょうか?

中国の複数原発が過去より継続的にトリチウムを海へ放流してた!

中国の複数原発から、福島原発が海洋放出しようと予定している年間量の最大6.5倍ものトリチウムが海に流されていた報道がありました。

このことは現在初めて行なった行為ではなく、数年前からの海洋放出実績から算出された結果であり、既に海へ放流され続けていました。

2020年に浙江省・秦山第三原発は約143兆ベクレル、21年に広東省・陽江原発は約112兆ベクレル、福建省・寧徳原発は約102兆ベクレル、遼寧省・紅沿河原発は約90兆ベクレルのトリチウムを放出していた

引用元:読売新聞オンライン

事故を起こした福島原発の汚染された冷却水の海洋放出には諸外国から非難の声が挙がっているものの各国相当量の原発運営に付随して発生するトリチウムを恒常的に海洋放出していることは既に周知の事実です。


画像引用:Twitter

トリチウム自体は自然界に存在する放射性同位体で日常生活の身近なところに普通にあります。

トリチウムの存在自体が変わった構造をしているため、状態が非常に不安定で、なんとか安定しようとする働きの中で微量の放射線を放出しますが、紙1枚をも透過できないほどの力しか無いため、人体の許容量を超さない限りは問題が無いと考えられています。

トリチウムは水道水や河川・毎水に広く存在しているモノであることは分かりました。

ではなぜこれ程までにトリチウムの海洋放出が世間を賑わせているのでしょうか?

トリチウムが自然界に存在することと原発の副産物は同じなの?

トリチウムが自然に存在する何ら珍しくない放射性物質であることと、人工的に操作された原子力発電の副産物として生成されたトリチウムとは同じなのでしょうか?

この点、物質的には同じモノであると言えますが、生成される量については、自然界で生成される能力以上の発生量が人工的な施設によって半ば強制的に生成され続けている状況が同じとは到底考えにくいです。

少なくとも自然界に占めるトリチウムの割合の増加量は原発によって激増しています。

驚嘆に例えるならば、脳内麻薬として知られるエンドルフィンは、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などの効果が得られる神経伝達物質の一種で、モルヒネと同じような作用をする物質から「体内で分泌されるモルヒネ」の意味を持つ名称にもなっています。

アスリートが限界を超えたパフォーマンス時などに「ハイ」に陥る感覚は、このエンドルフィンの効果によるものとされていますが、人体で生成される物質だからといって意図的に接種すると当然に悪影響が起こります。

人体を海とするならば、エンドルフィンはトリチウムといったとこではないでしょうか。

ガンの末期症状の患者の苦痛を和らげる医療目的でも使用されることのあるモルヒネも、身体に悪影響が起こらない程度を見極めた量を調整している点でトリチウムを薄めて海に放出する事と同じ事ではないでしょうか。

一気にドバっと流すと自然環境に悪影響を与えるので、「濃度を調節してゆっくり少しずつ流す」のは拒絶反応が起こらない状況を見計らいながら行なっている行為であって、決して「行なって良い」行為ではありません。

そこを書く利害関係当事者が都合の良いように解釈をして海に捨てるから物議が起きるのです。

海に捨てる理由はなんで?トリチウムの海洋放出は大丈夫なの?

この点について、極論すれば大丈夫な訳ないです。

そもそも自然に生まれることのない物質を、「もともと自然にあるから」との理由で勝手に捨てるのですから、良いわけないですよね。

そもそも海洋放出する理由として「コスパが良いから」です。

原子力発電所でも日本を含め各国で基準を決めて海洋放出をしているなど実績があり、監視も確実にできるとしました。また、タスクフォースも海に流すことで安定的に薄くなり拡散ができるとし、コストも最も安く、大量の処理水を最短で処分できるとしました

引用元:NHK

放出実績が豊富な点もありますが、「安くて簡単」のいわゆる「はやい・うまい・やすい」吉野家の牛丼方式です。

トリチウムの海洋放出に賛成派・反対派がそれぞれ持論を展開しています。

地下深くに埋める手段が駄目なのに、海に捨てるのはOKとか意味分からなくないですか?

現代社会で電気を使わざるを得ない環境に身を置いている以上、原発とは無関係とはいられないですし、原発が稼働していればトリチウム問題は必ず生まれます。

本当に大事なことは、トリチウムがどう大丈夫なのか?どうして正規の原発副産物としてのトリチウムは良くて原発事故で発生したトリチウムが悪いのか、海に捨てることによってどのような影響が起こるのか、海に捨てないとどんな結果に陥るのか・・・など、それぞれが自分たちの都合の良いような考えを推し進めるのではなく、メリット・デメリットを全てのものが共通認識することが何より大切なことではありませんか?

おそらく、今回の中国によるトリチウムの海洋放出も、海に捨てたことが問題なのではなく、周辺各国への説明がなされないまま勝手に行われた行為だったことが非難を呼んでいるのではないでしょうか。

しかも、もしも専門家の掲げる「トリチウムは安全」だとする考えが本当に正しいのだとすれば、そもそもどこの国がどこに処分しようと問題は怒らないはずです。

「トリチウムが安全」ではない、もしくは「トリチウムが安全か分からない」からこのような騒動に発展するのではないでしょうか。

いつの時代も、最後に被害を被るのは力のない末端の存在です。

少なくと知識は調べたり学んだりすることで手に入れることが可能ですから、これを機会にトリチウムについての知識を深めて見るのも必要かもしれません。

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