人材不足の電気主任技術者(電験3種)は業務未経験でも大丈夫?

地球温暖化の影響か、年々夏の暑さが厳しくいなってきているようにも感じます。

近年、夏の必須アイテムであるエアコンの取り付け技術者が不足しているようです。また、電気・水道・ガス・道路など、維持管理に高い専門性の知識や資格を要するインフラ設備に関わる技術者の不足も深刻化してきているようです。

今回はその中でも、「人材不足の電気主任技術者(電験3種)は業務未経験でも大丈夫?」と題しまして、様々なインフラ設備の中の電気のスペシャリストとしての地位が確立している電気主任技術者の不足についてお伝えします。

電気主任技術者(電験)が不足している

電気主任技術者とは、「電気設備の保安監督を仕事とする専門家」 であり、発電所や変電所、工場、ビルなどの受電設備や配線など、電気設備の保安監督という仕事に従事します。

電気事業法の第43条において、「事業用電気工作物を設置する業者は、その工事・維持・運用に関する保安を監督させるために、主任技術者を選任しなければならない」と明確に規定がされており、対象となる電気設備を設置している事業者は、法律によって主任技術者の選任が義務付けられれいます。

取り扱うことの出来る電圧の違いによって第1種〜第3種まで区分けがされていて、電気主任技術者の登竜門である3種からステップアップして最難関の1種の資格取得に至るのが一般的です。

第3種電気主任技術者のことを「電験3種」とも呼び、むしろ電験の方が一般的馴染みのある名称かも知れません。ちなみに第1種電気主任技術者は「電験1種」と呼びます。

資格は誰でも取得可能だが業務未経験で仕事は出来るのか?

電験の試験自体は受験資格も特の設けられていないので誰でも受験は可能です。

工業高校の電気科の生徒であれば、在学中に電験3種を目指すケースも珍しくありません。

当然、2種・1種も受験資格は無いので、受験するだけなら誰でも問題ありませんが電気に関する数学的知識を必要とするため、電気知識の無い方がいきなり受験してもまず問題の意味すら理解できないと思います。

電験3種で要求される能力が「高校卒業程度の学力」とされていますが、高校を卒業していれば誰でもOKという意味ではなく、高校卒業までに習得すべき学力をきちんと備えている状態のことを挿しているので、たとえ工業高校電気科卒の社会人が電験の試験問題を見ても大半が理解不能に陥ります。

例年10%前後の合格率で推移している電験3種ですが、税理士試験のように科目合格制を採用しているので、3年で全4科目に合格すれば晴れて試験合格となります。

では、仮に業務未経験者が本の知識だけを詰め込んで合格したとして、実際の仕事に就けるでしょうか。

「一生食いっぱぐれのない資格」とも称されることもある電験ですが、ある程度年齢を重ねた方が心機一転!と電気に鞍替えするのはオススメできません。

まずもって、電気の保安監督という仕事自体は、強靭な筋力が必要であったりや過酷な環境下で行うような業務ではありませんが、「責任」が重い仕事です。

その理由として、法律で義務付けられていること、電気が常に支障なく使えるように維持すること、下手すれば重大な災害にも繋がりかねない業務内容であること等が挙げられます。

電気は目に見えない存在なだけに、安易に扱うと感電する危険性を含んでいます。

そもそも電気に対する知識や理解が無ければ実際には怖くて触れないでしょう。

電験に限らず、資格はあくまでも仕事に就く上での最低条件であって、実務は現場経験を積んで少しずつ身に付けていくものです。

稀に天才的な頭脳の持ち主が電験1種をストレート合格するハナシを聞きますが、一般的には電験3種に合格するだけでも一苦労します。

単純に合格率だけで言えば、電験と行政書士は似たような感じですので、仮に行政書士試験に合格した方が電験を受験すれば受かるかと言えばおそらくムリです。

試験内容が余りにも異なり過ぎていて、比較対象になりません。

工業高校電気科卒でもかなりの難関です。

業務未経験者に電気主任技術者(電験3種)はおすすめか?

電験は法的な選任義務があるので社会的な需要な地位はありますが、全く畑違いの職種から未経験で資格だけを武器に転職を考えているのであればオススメしません。

理由として、業務内容が高い専門性を要求されるのに加えて、一歩間違えれば重大事故にも繋がる非常に危険な仕事であることから、未経験者を雇い入れて一人前に育て上げるまで最低でも数年を要するので、高卒・大卒の新卒者出ない限り人材育成の面からも企業側にメリットが見出しにくいと考えられます。

18歳の高校新卒と30歳の業務未経験中途採用希望者だったら、おそらく前者を採用するのではないでしょうか。

また、「インフラ人材不足」は今に始まったことではありません。

エネルギー需要の変化により、改めて電気主任技術者が注目を浴びていますが、かと言って未経験者を積極的に採用するとは考えられません。

繰り返しになりますが、戦力になるまでに時間が掛かるので、若年者でないのであれば相応の覚悟を持って電験の道に挑むべきだと思われます。

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