ゼネコン大手の清水建設に務める男性社員が2021年8月に自殺し2023年5月に労災認定されていた事実が判明しました。
直前3カ月は平均100時間を超えていたそうです。
残業100時間超は普通?清水建設社員の過労死は理不尽な勤怠管理
2021年8月にスーパーゼネコン・清水建設の男性社員が過労自殺した原因と長時間労働との関連が認められ、2023年5月に正式に労災認定されました。
ニュース・報道によると、実際には長時間の残業があったものの人事評価に影響するとの上司からの忠告により過少申告を行なっていたとみられます。
清水建設の勤怠管理はパソコン上で行われていたようで、個人ごとの業務用パソコンのログオン・ログオフと連動して自動的に勤務時間がカウントされる仕組みで、このシステム事態は珍しいものではなく、建設業界だけで言えばゼネコンに限らずサブコンも同様の勤怠管理システムを導入している企業が多いと思われます。
その勤務時間を毎月上司が確認し、差異(実査愛の勤務状況と異なる部分)が無いかをチェックしていたとのことです。
長時間の残業をしていたが、勤務時間に関する記録を操作し、過少に申告していた。時短目標の達成が評価の対象になると上司から伝えられたことが影響した可能性があり
引用元:朝日新聞
近年の働き方改革により、特に大手企業では残業時間に厳しいルールを設けているケースが少なくありません。
労働基準法の改正により、年間720時間を超える時間外労働が認められなくなり、違反した企業に対してはペナルティが課せられることになります。
年間720時間ということは、単純に一月あたり80時間の計算になりますが、細かな規定が設けられていて実際にはそのような運用にはならないのが現実です。
画像引用:厚生労働省
また、実務的な裏話にはなりますが、今回の労災認定のケースでは建設現場における現場監督の業務に就かれていた方だと思われますので、その場合、年間720時間の時間外業務では行業務を遂行していくのは難しいのではないかとも考えられます。
現場監督の仕事は基本的には現場の職人が建設現場を退所した後から忙しくなる傾向にあります。
これは現場の規模や地域性、予算、企業風土等の諸条件によっても異なりますが、日中は現場作業を担当し、夕方以降は事務作業を担当するというのが大雑把な流れではないかと思われます。
と言いますのも、日中は様々な業種の職人の手配や段取り、指示、トラブルなど、想定内外の事態に追われ続けるのでとても事務所でデスクワークをしていられる状態ではありません。
特に、大きくも小さくもない中途半端な規模の現場がそのような傾向にあります。
今の御時世どこの企業でも「残業時間を減らせ!」と言いますが、現実問題として、減らしたくても減らせない状況があることもまた現実です。
少ない労働時間で効率よく成果をあげる事もまた技術の一つなのでしょうが、法律で時間外労働(残業)の上限が決められていますので、「やっぱりムリです」は通用しないのです。
だって会社がペナルティを喰らってしまうからです。
となると、「勤怠システムをイジる」方法を考えるのですが、これはだれもが考えることです。
自分のパソコンでログオンしたまま、共用パソコンなどにも自分のIDでログオンしたうえでログオフすると、その時刻が記録され、自分のパソコンで仕事を続けても記録が残らない仕組みになっていた
引用元:朝日新聞
この勤怠管理システムの回避方法は各社が採用している環境によって様々ですが、私の場合はネット回線に未接続の状態でログインを試みると当然社内ネットワークに繋がっていないためにログインができないとの警告メッセージが現れるのですが、その後サーバーに接続し特定のログインパスワードを入力することで「ゲストユーザー」としてログインすることができていました。
この手法も半年ほどで対策が講じられてしまい、別の抜け道で対応をしてはまた対策が講じられ・・・のイタチごっこを繰り返し、現在ではまた新たな手法で残業時間を過少申告するために裏技を駆使している始末です。
残業時間が多ければ上司から注意されるものの、かと言って業務の実情を分かっているが故に上司も具体的な解決策を講じることはできません。
一体何のために仕事をしているのか時々分からなくなりますがこれが現実です。
できないものはできないので仕方がありません。
別にログインユーザーを偽ってパソコンを立ち上げたい訳ではありません。
パソコンを立ち上げないと業務が終わらないからです。明日の段取りができないからです。図面を書けないからです。材料の発注メールを送れないからです。協力業者からの見積もりを査定しなければならないからです。20時すぎると強制的にパソコンがシャットダウンしてしまうからです。
私だって早く家に帰りたい!
会社側はなんとか上限内に抑えようと勤務時間の調整を手動で行いますが、もう好きにやって下さい!といった感じです。
スーパーゼネコン清水建設の過労死労災認定に世間の反応は?
時短目標が評価に繋がる、という点はウチには無い制度なので一瞬目を見開いたけれども…やはりおかしいよ。
健康や命を犠牲にしてまで得られる評価なんて、いらない…
職員の厚意に甘えて「本当の勤務時間」を見て見ぬフリしてる組織、日本にどれくらいあるのだろうね。https://t.co/nUakESW7gr— かぼす@毒呆職員 (@ucW1fQ38C5lhS26) July 15, 2023
現場監督の端くれですが、どこもこんな感じよね。
残業時間減らせ!けど仕事の納期と品質は落とすな!だもん。
挙げ句の果てに書類は増えるけど、減る事は一切ない。清水建設社員が過労自殺 自ら勤務時間を過少申告、時短目標が影響か(朝日新聞デジタル)#Yahooニュースhttps://t.co/gKppT8pjVH
— TET (@tet_saxophone) July 15, 2023
東大工学部でて清水に入って29歳で家族残して自殺か。時短目標はあるがログが残らないように自分のPCで仕事してた模様
無念だなぁ…
色々原因あるだろうけど仕事で過労自殺は…無念だなぁ…
2024から始まる残業規制。結局こういった事例が増えそうでならない…
清水建設社員が過労自殺…
— 石男くん@昨日よりも面白くの建設You tuber (@Stoneman_ISHIO) July 16, 2023
労働時間の不十分な管理、背景に 清水建設社員の過労自殺https://t.co/YApG1p0Ief
会社は男性が申告した勤務記録を示し「長時間労働の問題はなかった」。
遺族は業務用PCの使用状況や警備会社が管理している入退室の記録を求めた。
会社が確認したところ、男性が申告した記録と食い違いがあった。
— 朝日新聞デジタル (@asahicom) July 15, 2023
私も時間外は余裕で毎月100時間を超えますが、まだ頑張れています。
しかし、皆が同じ状況ではありません。
少しづつ建設業界を取り巻く労働環境は改善されつつありますので、せめて理不尽な実現不可能な勤怠管理システムだけは何とかしてほしいです。
お亡くなりになってしまった方のご冥福をお祈り致します。
コメント