ペッパーミルポーズとは何?高校野球や甲子園で禁止の理由はなぜ?

日本中で大盛況のWBCの日本代表メンバーでもあり、米国メジャーリーグのセントルイス・カージナルスに所属するラーズ・ヌートバー選手がパフォーマンスとして行なっている「ペッパーミルポーズ」が日本中でも大流行しています。

同時期に、新型コロナウイルスによる蔓延防止の観点から無観客試合・無声援試合などの対策がやむを得ず講じられた2019年以来4年ぶりに声出し応援が認められ開幕した第95回センバツ高校野球大会

この時を待ち侘びた全国の高校野球ファンが見守る中開会した大会初日の開幕戦で、初回に先頭打者金子選手が出塁した際に1塁ベース上で味方ベンチに向かって行なった「ペッパーミルポーズ」に1塁塁審から注意が入りました。

野球少年の憧れの最高峰米国メジャーリーグで流行り、WBCを通じて日本プロ野球の選手達も採り入れたことで日本中でも話題となったパフォーマンスですが、甲子園・高校野球ではなぜアッサリ否定されてしまったのでしょうか。

今回は「ペッパーミルポーズが高校野球や甲子園でダメな理由」について検証していきます。

ペッパーミルポーズとは何?どういう意味があるの?

ペッパーミルポーズとは、卓上の胡椒粉砕機を使用する際の仕草を真似たパフォーマンス(ポーズ)で、Pepper(胡椒)Mil(細かく砕く)をその意味の由来としていて、「身を粉にして」との意味を掛け合わせている。

胡椒を挽く仕草に「こつこつ」「身を粉にして」という意味が込められているといいます

スポーツの枠を超えて広がるペッパーミルポーズ

ペッパーミルポーズ」は、本場カージナルスでは「ペッパーグラインダーポーズ」という愛称で親しまれていて、ペッパーミルをグルグル回す仕草に「どんどん廻して行こう!」との意味合いを込めてヌートバー選手を発端にチーム内で流行っているそうです。

日本で話題となったキッカケは大谷翔平選手です。

WBCを戦うために結成された日本代表の選手の間を和ませて打ち解けやすくする方法として考えられた案だったそうですが、大谷選手に良いアイデアが浮かばず、メジャーから来日しているヌートバー選手にお得意の「ペッパーミルポーズ」をお願いしたのが始まりだそうです。

皆が同じパフォーマンスを面白可笑しく行うことによって、チーム内の士気を鼓舞する意味合いの他にもチームメイト同士の一体感を創り出す側面もあるのかも知れません。

今ではWBCにおいても大谷翔平選手が行っていたり、日本プロ野球でもオリックスの杉本選手の他色々な選手がパフォーマンスとして行なっていたり多くの人たちから愛されているポーズで、その人気ぶりは野球界に留まらず、野球少年や一般企業の会社員、マラソン・ゴルフ・サーフィンといった野球とは何ら関係の無いスポーツから、相葉雅紀さんやビートたけしさんなどの著名な芸能人やアナウンサーに至るまで、日本中にペッパーミルポーズが爆発的に浸透しているのが分かります。

プロを夢見る高校球児にとって、メジャー選手のパフォーマンスを自分も試合でしてみたいと考えるのは自然な流れだと思います。

プロ野球では良くて高校野球や甲子園でダメな理由はなぜ?


画像引用:毎日新聞

東北高校の佐藤監督は「ペッパーミルポーズ」がなぜ注意を受ける行為なのか理由を聞きたいと語っており、高野連が以下の異例のコメントを発表しました。

「高校野球としては、不要なパフォーマンスやジェスチャーは、従来より慎むようお願いしてきました。試合を楽しみたいという選手の気持ちは理解できますが、プレーで楽しんでほしいというのが当連盟の考え方です」

言われてみれば、エラーでの出塁という要因もあり、相手チームへの配慮を欠いた行為とも捉えられなくはないが、あの場面で、あのタイミングで、あの様な指導の仕方は塁審側も一定の配慮をすべき対応だったと考えられます。

1度きりの青春を謳歌している甲子園の球児たちは毎年見る度に勇気と感動を与えてくれます。負けたら終わりの勝ち抜き戦だからこそ感じる緊張感はプロ野球にはない高校野球独特の雰囲気ではないでしょうか。

東北高校の佐藤キャプテンは「注意を受けて、少し嫌な雰囲気になった。自分たちらしいプレーがあそこで途切れてしまった」と後に語っていましたが、自分たちらしいプレーが必ずしも全て許容されるとは限りません。

見る人によっては「エラーを茶化された!」と腹を立てるかもしてません。

「ペッパーミルポーズ」が良いのか悪いのかはおそらくは個別具体的なシーン毎で判断される行為であって、画一的な規制は難しいとは思いますが、あの場面においてはエラーをして出塁を許してしまった相手選手への配慮も少なからず必要だったのかも知れません。

子どもたちの野球を楽しむ感覚以上にスポーツマンシップ精神に配慮をするべき立場の佐藤監督にして、ただ単に「子どもたちが楽しんでいるのに何で?」の問題提起では、組織の統率者をして如何なのかなと疑問を感じてしまいました。

河野太郎大臣も「ペッパーミルポーズ」問題に参戦されました。

少なくとも、「ペッパーミルポーズ」の是非は明確な答えのある問題ではなく、個々人のモラルや感覚に大きく左右されてしまう問題なだけに、高野連をはじめ監督やコーチ等、高校野球の指導的立場に当たる者の力量が問われるのではないかと考えます。

東北は大会前の練習試合でもこのポーズを取り入れ、指揮官も「一丸となって楽しんでいた」とチームの一体感に手応えを口にしていた

引用元:スポーツ報知

監督自身の指導方法が普段の練習時から「ペッパーミルポーズ」を良しとする方針であったため、選手もそれに準じて何の違和感も抱くこと無く過ごしてきたのでしょうから、選手が叩かれるのは可哀想な気がしてなりません。

相手エラーを喜ぶか、打ち返したバッターを称えるか」どちらの意味合いで盛り上がるかで内容は変わってきますが、試合本番において勝ち上がりたくないと考える選手はいないと思います。

敬意や品位があっての話でしょうが、ミスにしろエラーにしろ自分たちが有利にことを進められればそれが1番だと誰もが思うことではないでしょうか。。サッカーでも卓球でもカーリングでも感情を顕にして喜びますよね。

「あれくらいのパフォーマンスでも注意されるんですね。相手を馬鹿にしたりするのは駄目でしょうけど、ガッツポーズとか『よっしゃー!』って声出しちゃうのとなんら変わらないじゃないですか。相手のエラーでも塁に出たらみんな声出しますよね。過剰に反応しすぎじゃないですかね」(高校1年生)

「練習試合でランニングホームランを決めたときにやりました。自分もチームのみんなもパフォーマンスしてめちゃくちゃ気持ちよかったです。大活躍中のヌートバー選手に少しでも近づけた気がしますし、憧れでもあるのでできて嬉しかったです。相手を煽る意味でやるのはよくないと思いますけど、誰もそんな気持ちでやる人なんていないでしょうし、塁に出るのは実際嬉しいことです。チームの一体感も出るからあまり派手なものでないならパフォーマンスもアリだと思います」(高校2年生)

引用元:集英社オンライン

ペッパーミルポーズが高校野球や甲子園でダメな理由【まとめ】

ペッパーミルポーズが高校野球や甲子園でダメな理由」としてお伝えをしましたが、高野連の考えとして「喜びを誇示する派手な『ガッツポーズ』などは、相手チームへの不敬・侮辱につながりかねないので慎む」と高野連の「周知徹底事項」に規定されており、これに抵触したと考えられます。

規則・規定で物事が全て丸く収まる訳ではありませんが、当事者である東北高校の金子選手に過度な反応が起こらないことを願います。

自然な感情表現としての雄叫びやガッツポーズと流行りのパフォーマンスとの区別は改めて必要なのかも知れません。

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